TOEICでは上記設問のように店舗からの案内や告知文に関する問題も多く出題される。
今回の問題はとあるカフェからのお知らせなのだが、この問題を見てしばしアメリカ、とりわけニューヨークのマンハッタンにあるカフェ事情について紹介してみたい。
ニューヨークといえばスターバックスをはじめとする大手カフェチェーンが席巻しているイメージだが、それもそのはず、十数年前に東57丁目とパークアヴェニューにあったボーダーズ(Border’s)という書店に、今では当たり前となっている店内カフェを併設、立ち読みならぬガッツリと座って商品である雑誌などがゆっくりと読めるスタイルが登場したのもここニューヨークであるからそれも致し方ない(ちなみにボーダーズの前にはバブル期に日本の三越レストランニューヨーク店がこの場所にあった)。
しかしながらニューヨークにもいくばくか老舗と呼ばれ、地域の住人などから古くから愛されているカフェも存在する(愛されるが故に結局のところNY全域にて有名なのだが)。そんな中から伝説的な老舗カフェを何店か紹介してみたい。
まず1件目はエドガーズカフェ(Edgar’s Cafe)。
このカフェは元々は西84丁目のブロードウェイとウエスト・エンドアベニューの間、通称エドガー・アラン・ポー通りにあるブルネン・マンションという住宅ビルの一階に位置していた。
そう、ここはその名の通り1844年ごろにかの有名なミステリ作家、エドガー・アラン・ポーが住んでいた場所で、その跡地にカフェが作られているのだ。
ミステリアスな薄暗い内装はまさにポーの世界観そのままで、彼の自画像なども飾ってあり、この空間でコーヒーをすすると150年前にタイムスリップした気分になる。
ケーキやコーヒーの味も絶品で、ウエストサイドにお買い物の折には是非雰囲気を味わっていただきたいカフェだ(現在はアムステルダムアヴェニューに移転)。
次は、ひとたびマンハッタンの南側、グリニッジビレッジに足を運びたい。
このあたりは新旧のカフェが入り乱れている地域なのだが、その中でも特に歴史があるのが、カフェ・レジオ(Cafe Reggio)だ。
1927年に創業で、ニューヨークで初めてカプチーノを提供したカフェとして知られている。そう、カプチーノのニューヨークにおける幕開けはここからなのだ、決してスタバでないのがまた面白い。
ここにある自慢の1902年製のエスプレッソマシンは今でも現役で創業当時から変わらぬ味で煎れられる少々ほろ苦いコクのあるカプチーノは絶品だ。
長い歴史の中、様々なニューヨーカーのそれぞれの思い出の味になっていることは間違いない。
そしてそのカフェ・レジオの斜め向かい、マクドゥーガルストリートとブリーカーストリートの角にあるのはこれまた1957年創業の老舗、カフェ・フィガロ(Cafe Figaro)だ。
残念ながら2008年にその半世紀以上の歴史に幕を閉じたのだが、多くのニューヨーカーや、また観光でこの辺りを通った際、その大きなCafe Figaroのサインを見た記憶のある方も多いだろう。閉店後の今も他の店舗が入っているビルの上部には当時のサインがいまだニューヨーカーのアイコンとして残されている。
当時はケーキやカプチーノはもちろん、パスタメニューも充実し、夜にはバーも併設されており在りし日のビレッジの最盛期をそのコーナーから見てきた歴史的なカフェといえる。
その佇まいから、数席あったアウトサイドカフェには極寒の冬の日曜日の昼下がりも、暑いヒートウェーブの真夏の盛りも人々が常に集っていた。
その中には若き日のボブ・ディランもいたのだとか。一体ここで何をインスパイアし、表現してきたのだろう。
いかがだろうか?ちょっとしたTOEIC問題のパッセージからこんな異国の風景を思い浮かべて試験勉強の合間に一服していただければ幸いである。