本場のカントリークラブが分かれば、アメリカ社会がもっとわかる?!

日本の会社では、歓送迎会を兼ねた飲み会はよくあるシーンだが、アメリカでも会社内で同様の催しが行われることがある。本設問における会社内でのパーティー、催しについて紹介したい。

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日本とアメリカで異なるカントリークラブのステータスと歴史

設問のようにアメリカでは、有志のメンバーで参加者を募り、会費を集め、プレゼントなどを渡すアットホームで小規模な、送別会的な飲み会といった程度のものから、とりわけ大企業主催のパーティーにおいては、主にクリスマスのホリデーシーズンに謝恩会を兼ね、社員の家族を招くパーティーもある。

こういった場合、たいてい会費は会社持ち、complementaryだ。

すこし古いが、ブルース・ウィリス主演の第一作目、ダイ・ハードという映画を観ると、当時アメリカ、ロサンゼルスに進出した日系企業ナカトミのクリスマスパーティーの模様が描かれている。

そういった場では各々おめかしをして正装で出向き、同時に会社に貢献した社員が表彰される。映画は自社ビル内での催しだが、ニューヨークなどの都市部ではホテルなどを借り切って行われる場合も多くある。

社交場として、カントリークラブを利用している

さて、この問題中に出てくる会場となる場所、Emerald Country Club、エメラルドカントリークラブとは、ご想像通り、ゴルフ場を指す。

ゴルフ場で送別会?もちろん海外でもゴルフコンペはたまにはあるが、この問題はランチョン・パーティー(昼食会)のはず?そう、設問はコンペのお誘いではないのだ。

日本でも多くのゴルフ場にカントリークラブと名前がついている。
しかし、アメリカにおけるゴルフ場のカントリークラブとは日本のそれとは少々意味合いが異なるのだ。

日本ではアメリカでのカントリークラブ=ゴルフ場という名称をそのまま使い、海外では街の社交場をカントリークラブ、と呼んでいる。

ほとんどがゴルフコースを併設してあるので、ゴルフ好きはプレーを楽しみ、家族たちはレストランで食事を頂き、会議やパーティー、催しを行う会場として、はたまた結婚式場としてもよく利用されている。男性でもゴルフをしない方たちにはポーカールームがあるところも見かける。

田舎に行くとこれといった催し場所や遊び場がないということもあるが、ゴルファーだけでなく、街のみんなが集い楽しむ場所。それがカントリークラブなのである。

そしてその場所を皆できれいに保ち、自然を維持して環境を保全してゆく。そのために会員券が発行されメンバーシップという形でファンドを募るのである。

日本のカントリークラブのようにそこはゴルファーだけが集まり、会員権は投資目的のため、という位置付けではなく、街の人々に厳かに、そして代々大切に営まれている場所がほとんどなのだ。

すると、ゴルファーにはおなじみの、全英オープン、全米オープンといったゴルフのメジャー大会の会場に選ばれる場所に何となく威厳があるのも納得ができるのではないか?ゴルフに興味のない方でもそういった視点でぜひ中継を一度見てほしい。

日本のゴルフ場も開かれた場所になれば、休みのたびにゴルフに出かけて奥さんと揉める、といった旦那さんも減るのかもしれない。

何せ海外のカントリークラブには街一番のシェフが腕を振るうおいしいレストランが入っていることも多いので奥様、娘さんを招待して舌鼓を打ちながら、旦那さんと息子さんは今頃コースに出て親子でゴルフを楽しんでいることだろう。

多くの家族が思い出にする場所がカントリークラブ。設問中のMr. Hopeさんもそんな場所で仲間に見送られ、嬉しいのではないだろうか?彼がゴルファーならなおさらである(笑)

日本語も英語も共通する「wall flower」

最後に、パーティーといえば英語ではwallflower、日本語も同様の意味を持つ「壁の花」という言葉がある。

多くの参加者とまんべんなく話してゆくのは我々日本人には難しいことだ。壁の花になりがちな方も多くいるのではないだろうか?
アメリカ人は話し上手で、人と人との距離をとるのがうまい。そんな風に立ち回ることが出来れば日本でも飲み会が苦手、億劫なんてこともなくなるのだろうか?

ランチョンパーティーの設問を皮切りに、そんな景色を感じてみた。皆様はどんなパーティーを想像するだろうか。